2002年2月23日土曜日

15 eメールの達人になる:2002.02.23

村上龍著「eメールの達人になる」(ISBN4-07-720119-8 C0236)を読んだ。
村上氏のeメールに対する考えを書いた書である。eメールという条件と、日本語と相手を大切にする考えは共感したが、著者は、相手への配慮をひつこく言っていたが、どうもそれが、押し付けがましく感じた。合い矛盾する感情を持った。感情とは、難しいものである。

14 立派な親父になる:2002.02.23

林道義著「立派な親父になる」(ISBN4-88747-022-3C0095)を読んだ。
この本では、もはや現在の親には期待できない、だから、子供に期待しようという趣旨だろうか、子供に向かって、誰もが納得できる親父像を提示している。この書は、私は永久保存である。
さて、この本でよかったところだらけだが、一番大事な部分は、
「なぜこどもに立派な大人が必要なのか。それは人間には、少しでも良くなろう、高まろうという向上心があるからだ。とくに子どもには向上心が強い。立派な人間にになりたという心がある。そのとき模範が必要になる。その最初の模範になるのが父親なのだ。」
であろう。
立派な父親とはどういう人を言うのかについて、
「家族を慈しむ父でなければならない」
「何でも教えたがる父親は、たいへんすばらしい父である」
「みなが一緒によりよい状態になる、つまり幸せになることを目指すのが父親の「理想」である」
「正しい心を持てば、正義の道を見つけやすくなるのである」
「民族の文化を子に伝え、民族に特有の美しい完成を伝えていかなければならない」
「父親は子どもに礼節を教えなければならない」
「規則正しい生活習慣を見につけるさせること」
「もう一つ最も基礎的で大切な「しつけ」がある。「うそを言ってはいけない」といいう「しつけ」である」
「道徳・礼節を語らない男を、父とは呼ばない」
「子どもに感動体験を与えよ」
「立派な父になるためには、自らが男らしくなると同時に、子どもを男らしく育てなければならない」

13 天は人の上に人をつくらず:2002.02.23

安野光雅著「天は人の上に人をつくらず」(ISBN4-88747-020-7 C0095)を読んだ。80ページ足らずの文庫で300円ほどの小冊子である。
しかも、漢字には全部ルビ付きで、子供向けの本である。私が出したいような本である。薄い本もいいが、しっかりした本を書きたい。愛読者ハガキを出した。どういう反応が、楽しみだ。
さて、この本でよかったところ。
「むかし、「進取の精神」という言葉があった。何事によらず、自分から進んで物事に当たるという意味だが、諭吉ほど「進取の精神」に満ちた人は少ない。」
「「その人が人間として尊敬できるかどうか」という物差しで計ることにしたらどうだろう。これは、きまった物差しがないから、はっきりしたことは言えないが、世間のどこでも通用する上下を言うなら、「人間として・・・・」と考えるほかない。」

2002年2月7日木曜日

12 心は孤独な数学者:2002.02.07

藤原正彦著「心は孤独な数学者」(ISBN4-10-124806-0 C0141)を読んだ。
文庫版ではこれが最新刊である。この本では、藤原氏が尊敬する数学者である、イギリス人のニュートン、アイルランド人のハミルトン、そしてインド人のラマヌジャンという天才たちの人間としての足跡をたどったものである。イギリス、スコットランド、インドと大英帝国圏のそれぞれの地で、それぞれの民族として風土の影響を受けた人間として天才数学者が描かれている。
本の中で気になった文章をいくつか載録する。
ニュートンの墓碑銘として詩人アレキサンダー・ポープの二行詩
「自然と自然の法則は闇に横たわっていた
神は言い給うた、『ニュートンあれ』、すべては光の中に現れた」
「イギリス人の保守性を考える時、いつも胸をよぎるのは、彼等の独創性である。力学(ニュートン)、電磁気学(マクスウェル)、進化論(ダーウィン)はみなイギリス産である。近代経済学(ケインズ)もビートルズもミニスカートもイギリス産である。ジェットエンジンもコンピュータもイギリス産である。」
恋と詩と数学に生きたハミルトンが4元数を思いついた興奮のあまり刻み付けた式橋の欄干の碑文
「ここにて、1843年10月16日、ウイリアム・ハミルトンは、天才の閃きにより、四元数の基本式を発見し、それをこの橋に刻んだ。i2=j2=k2=ijk=-1」
「哲学の系譜からいっても、イギリスは経験論の国である。教義や論理などより、経験を重視するのである。厳密性や論理性などというのは、柔軟性に欠けたドイツ人の考えることで、つまらぬ理屈を並べ立てるのは、口先だけのフランス人のすること、と軽蔑していたのである。」
「先進国の人々で、インドに魅了される者がいるのは、中世と現在の共存する、目の回るような多様性の中に、文明を剥ぎ取った人間、仮面をとった自分自身を目の当たりにするからであろう。どこで何を見ても、否応なしに何かを突きつけられる。それは驚きであり、時には憤怒や感動であり、常に知的刺激である。絶え間ないこの刺激も、疲労を深める大きな一因であろう。インド疲れは回復するのに、帰国後三週間はたっぷりかかるのである。」
「人間も含めた広義の宇宙が、神により美しく調和ある姿に構成されているためかもしれない。あるいは、人間が美しいと感ずるものは、人間の知性に最も適合するものであり、従って道具としても利用しやすいのかもしれない。」
ラマヌジャンの独創性について著者がランガチャリ教授に尋ねたところ、「チャンティング(詠唱)が独創の一因と思う」
「独創との関係について述べてみましょう。まず、詠唱により大量の知識を確実に蓄えることがでいます」
「次に一つ一つの知識が孤立した点ではなく、広がりをもって記憶されるということです」
「折にふれ口ずさむことは、得られた知識や概念をもてあそぶということです」
という答えが帰ってきた。 含蓄のある言葉である。