2003年11月13日木曜日

62(141) 全地球凍結: 2003.11.13

川上紳一著「全地球凍結」
(ISBN4-08-720209-7 C0244)
をよんだ。
良い本である。
新しい地球科学のモデルが生まれる臨場感がある。
ホフマン氏がいかにそのモデルを
つくりあげていったか。
そのモデルに他の研究者はどのように対処したか。
そして日本のグループは
どのような貢献をしたか。
そのあたりの研究の背景がよくわかった。
私は、川上氏を知っている。
川上氏は大量の文献を集めて、
そこから重要な点を要約するという能力に長けている。
それをいろいろな分野で行ってきた。
最近は縞々学を中心にして
生命と地球、そして現在の中心課題である
全休凍結へ関心が進んでいる。
成果もそれなりに上がられている。
リーダーとして優れている。
しかし、私は、この本を読んで、
反面教師をそこに見た。
私が得た重要な教訓は、
自分でデータを出すこと。
そして自分の考えを打ち出すこと。
つまりゼロからスタートして、
自分流のものを作り上げること。
これこそが科学の醍醐味であろう。
これをしないとどんなに成果を出したとしても、
その面白さ、満足感は、
自分流の満足感とは比べ物にならないだろう。
科学は結果である。
しかし、人間は心である。
心が満足できないものに邁進する気は起きない。
だから、私は、自分の今のやり方は
間違っていないと思えた。
そんなことを強く感じさせてくれた本である。