2007年6月30日土曜日

32(317) 哲学者とは何か: 2007.06.30

中島義道著「哲学者とは何か」
(ISBN4-480-03558-3 C0110)
を読んだ。
この本は持ち歩いているバックに
長年入れていた本である。
とうとう先日読み終わった。
あちこちに掲載された文章をまとめたものである。
最後に対談が2編あったが、
それは中島氏の師にあたる大森荘蔵氏とのものである。
非常に本質的な内容を対談している。
師匠に対してこのような言い方をするのか
というなこともあった。
しかし、そんなことを意に介せず大森氏は会話を進める。
中島氏の指摘に対して素直に答えている。
そしてわからないところは教えを請い、
反対するべきところは反対する。
まさに対等の議論である。
師匠と弟子の関係を超えたところにある議論に見える。
そこが彼のすごさであり、尊敬すべき点なのであろう。
内容より師弟関係のすごさを見た。
そして中島氏書いた「大森さんはいい人であった」
という言葉は心に沁みる。

31(316) 数学にときめく: 2007.06.30

新井紀子著ムギ畑編「数学にときめく」
(ISBN4-06-257372-5 C0241)
を読んだ。
この本は、お母さんたちが数学について
話あいながら親しんでいくというサイトの記録である。
新井氏が数学のクイズを出して、
それを数学をほとんど忘れているような
お母さんたちが自由にいろいろな考えで
解いてくということを記録した本だ。
新井氏の行っている同様の活動による本は
以前も読んだ。
非常に面白いことだと思う。
このためには、熱心は参加者、
そしてたゆまない努力を続けられる
指導者あるいは主催者が必要である。
私もやろうとしたが、なかなかうまくいかなかった。
最終的にはメールマガジンだけになった。
しかし、それでもそのメールマガジンでも
長期的に継続すれば、時々反応のメールが来る。
その飽くことのない継続が重要なのだということを
感じさせてくれる本である。

2007年6月24日日曜日

30(315) 桜川ピクニック: 2007.06.24

川端裕人著「桜川ピクニック」
(ISBN4-16-325700-6 C0093)
を読んだ。
川端氏の子育ての連続短編小説である。
父親の育児に対する
さまざまな思いや葛藤が描かれている。
著者の実体験に基づく小説なのであろう。
しかし、私はしっかりとした取材のもとに書かれた
長編小説が好きである。
そのような新しい物語を待ちたいものだ。

29(314) コトの本質: 2007.06.24

松井孝典著「コトの本質」
(ISBN4-06-213664-3 C0095)
を読んだ。
本書は中学・高校の同級生が
松井氏に何回かのインタビューをしたものを
まとめたものだ。
だから重複、不明瞭なところがある。
これは、何度かのインタビューを編集したためだろう。
また、地球科学や松井氏の考えを余り知らないために
インタビューごとに繰り返し説明があったためだろう。
まあ、本人が書いたのではないので
本人のせいではない。
地球科学を知らない人に
松井氏がどのような態度で接するのか
垣間見たような気がする。

2007年6月17日日曜日

28(313)人はなぜ簡単に騙されるのか: 2007.06.17

ゆうきとも著「人はなぜ簡単に騙されるのか」
(ISBN4-10-610196-0 C0211)
を読んだ。
クロースアップマジックを得意とする
プロのマジシャンが書いた本である。
人は条件さん整えられれば
だれでも簡単にだまされということを
マジックや詐欺などを例に書いた本である。
なかなか面白かった。
本当はマジックを見ながら
この話を聞いたら
もっと面白く説得力のあるものになるのだろう。

27(312)てのひらの中の宇宙: 2007.06.17

川端裕人著「てのひらの中の宇宙」
(ISBN4-04-873713-9 C0093)
を読んだ。
短編の連作である。
少々不思議な世界の半紙であったが、
やはり以前の大作と比べると
読み応えが足りない気がする。
このような小説も書けるということなのかもしれないが、
私にとって、川端氏の小説に期待しているものとは違う。
これも少々期待はずれであった。

2007年6月10日日曜日

26(311)みんな一緒にバギーに乗って: 2007.06.10

川端裕人著「みんな一緒にバギーに乗って」
(ISBN4-334-92469-7 C0093)
を読んだ。
新人男性保育師の心の変化と成長をテーマにした
短編連作である。
そこそこ面白かったが、
やはり子供のテーマは灰谷健次郎を読むと
浅く、深みにかける。
それに最近の川端の作品には
圧倒的な取材力がないような気がする。
もっとストーリーの展開と内容とで
読者をひきつける魅力があったのに、
この本にもそれが欠如していた。
残念である。

2007年6月8日金曜日

25(310)地球温暖化は本当か?: 2007.06.08

矢沢潔著「地球温暖化は本当か?」
(ISBN4-7741-3001-X C3004)
を読んだ。
なかなか面白い本であったが、
少々ヒステリックに書かれているところがある。
内容的には私の支持したいものである。
冷静に論理的に書かなければならないが、
どうしても反論には、反証だけを示し、
それの反証で論を論破したとして
自分の論についての不確かさを
無視して話すようなことが気になった。
反論を示せば、対案を論理的に示し、
どうすればいいのか、いままでの論において
無視すべきでない成果もあるはずだから、
全否定ではなく、成果を取り入れようにすべきである。
しかしこれはなかなか難しいことではあるが、
私の同じ立場の論者として注意すべきでことであることに
気づかせてくれた。
相手は大きい集団で、正論、世論となり、
そして行政と結びついている。
心して向かわなければならない。

2007年6月2日土曜日

24(309)銀河のワールドカップ: 2007.06.02

川端裕人著「銀河のワールドカップ」
(ISDN4-08-774807-3 C0093)
を読んだ。
川端氏の本にしては、深くなかった。
彼がサッカーがすきなのは知っている。
今までの彼の小説からすると明らかに
レベルが低い。
彼の小説は圧倒的な取材とデータにもとづいて
構築される新しいシナリオ、意表をつく展開が
売り物のはずである。
なのにこの小説は、深くない。
残念である。

2007年6月1日金曜日

23(308)フィールドロジー: 2007.06.01

今村遼平著「フィールドロジー」
(ISBN4-485-30016-1 C3044)
を読んだ
フィールドロジーとは著者の造語で
現場の知というべきものである。
現場での見方・考え方という副題が示しているように
野外研究者、技術者に対する教科書である。
非常に興味深い本であった。
地質学の野外調査が重要性を
様々な局面それも哲学的に深く掘り下げている。
冗長な部分も多数あったが面白い本であった。
そして学ぶべきことが多数あった。
ただ、これは教科書ではあるが、
野外を多数経験し、
このようなことを考え悩んだものでないと
理解しにくいものではないだろか。
でも、野外調査の指針として非常に重要なものである。
いくつか誤植があり気になった。