2003年9月2日火曜日

53(132) 豊かさとは何か: 2003.09.02

暉峻淑子著「豊かさとは何か」
(ISBN4-00-430085-1 C0236)
を読んだ。
1989年に書かれた本だが、経済中心主義の異常さを指摘している。
しかし、どうすればいいのか。
国は、地方自治体は、企業、コミュニティ、家庭では、
という各面での解決策、解決例を示して欲しかった。
現状の批判ばかり、そしてヨーロッパのいいところばかりを紹介して、
日本の現状や国民性、歴史を踏まえた打開策を示して欲しかった。
批判ばかりで欲求不満になってしまった。
「生産の増大は、必ずしも豊かさに結びつかず、
かえって社会的にも個人的にもマイナスを与えている」
「社会保障と社会資本の充実こそは、
豊かさにとって、不可欠ものであることが痛感される。
それは人びとに安堵感を与え、平等に向かって道を拓き、
限りない競争から人びとを解放する。
追い立てられる活力ではなく、
ゆとりを持った創造的活力を発揮することが可能になる。」
「私はヨーロッパで「プライバシーのひとつは、
人の身のまわり半径50センチ以内に立ち入らぬこと」
と聞いたのを思い出す」
「アイヌの人々が、
「富を貯める人とは各個人の蔵にモノをためることではなく、
大地を豊饒に、自然を豊かにし、
自然の中に富を貯めることだ」と言ったのは、
きくべき言葉ではないだろうか。