2007年7月28日土曜日

35(320) 氷河期の『発見』: 2007.07.28

エドマンド・ブレア・ボウルズ著「氷河期の『発見』」
(ISBN4-594-05143-x C0098)
を読んだ。
表題どおり氷河期を発見したルイ・アガシ、
現在のグリーンランドの巨大な氷河を発見した
イライシャ・ケーン、
有名な地質学者のチャールズ・ライエルが織り成す
氷河期発見の物語である。
非常に面白い本である。
アガシが氷河期を発見したのというのは知っていたが、
ライエルが絡んでいたこと、
アガシがキュヴィエの弟子であったことなど
知らないことも多数出てきた。
そして偉大な地質学者ライエルでも
一度は氷河期を認めても世間の反論の激しさに
その節を翻し、認めることがなかなかできなかったこと、
そして最後にはアガシを認めながらも
自分の成果にしてしまったこと
などなど面白いことが盛りだくさんであった。

2007年7月16日月曜日

34(319) 昼は雲の柱: 2007.07.16

石黒耀著「昼は雲の柱」
(ISBN4-06-213705 C0093)
を読んだ。
石黒氏の三作目である。
今度は富士山の噴火と
富士信仰や古代宗教などは、
共通の火山を崇拝する
原始的な精神構造から
由来しているというものである。
それらは、火山のタイプによって
大陸系と海洋系に分かれるというものである。
なかなかストーリは面白かったが、
火山現象に関する話は
以前ほど面白くなくなった。
まあ地質パニック小説は日本沈没以来だから
作家としてこの分野の話を
書き続けて欲しいものだ。

33(318) バタフライパワー: 2007.07.16

ブリッグス、ピート著「バタフライパワー」
(ISBN4-478-83011-8 C1042)
を読んだ。
複雑系の話である。
人類の昔ながらの考えや振る舞いには、
実は複雑系の背景があることを示している。
そしてそこには限りない可能性と創造性があることを
主張している。
論理展開はいいのだが、
素材が数学的でないのが私には退屈であった。
ブリックスは美学、心理学の研究者だが、
ピートは複雑系の科学者であるから
期待していたが、期待はずれであった。