2012年5月24日木曜日

32(849)理系の子: 2012.05.24


ジュディ・ダットン著「理系の子」
(ISBN978-4-16-375080-4 C0098)
を読んだ。
アメリカの理系大好きの子で
インテル国際学生科学フェア2009に
出場した高校生を紹介している。
恵まれた優等生がタイトルをとるわけではない。
少民族、不幸な家庭、自宅教育の独習、
あるいはらい病にかかった女子高生、
そしてお金持ちの女子高生
核融合炉つくってしまったなどなど
多彩な高校生が登場する。
共通するのは科学に見せられた学生たちだ。
日本語版にはタイトルをとった
千葉の高校生の文章も掲載されている。
面白い。
家の子どもにも読ませたいものだ。
日本の学生にもチャンスがあるのだ。

2012年5月22日火曜日

31(848)昭和の終わりと黄昏ニッポン: 2012.05.22

佐野眞一著「昭和の終わりと黄昏ニッポン」
(ISBN978-4-116-734009-4 C0195)
を読んだ。
昭和天皇の崩御の事件、
昭和の終わり前後の話を
2000年以降に取材して書かれたものだ。
その他に格差や下流社会などを題材に、
書かれたルポがいくつかある。
中でも昭和の終わりは、面白かった。
佐野氏のルポは、
彼自身の視点で書かれているために、
読む側としても通説とは違った面白がある。
そして何より大量の資料と取材が
文章の背景にあることが
このルポからはよみとれる。
これらの手法はメディアや
ジャーナリズムのあり方として
当たり前だろう。
ところが、現状のメディアや
ジャーナリズムと比べると
佐野氏のルポが際立って見える。
寂しい限りである。
あとがきを読むと、
各方面から反響があったようだ。
それに対しても堂々と反論し、
間違いは謝罪する。
潔さを感じてしまう。

2012年5月17日木曜日

30(847)誰も書かなかった石原慎太郎: 2012.05.17

佐野眞一著「誰も書かなかった石原慎太郎」
(ISBN978-4-06-276247-2 C0195)
を読んだ。
長編のルポルタージュであったが
一気に読めるものであった。
ただし、長編であったから
読むのに1週間かかったが。
石原慎太郎の純文学はあまり面白くないが、
青春小説は若い頃に読んで
面白かった覚えがある。
政治家としては、途切れることなく
話題を提供している。
そしてそのべらんめえ調が
大衆ウケしているところもある。
その背景にあるものが、
佐野氏の見方で語られる。
面白い。

2012年5月9日水曜日

29(846)なぜ地球だけに陸と海があるのか: 2012.05.09

巽好幸著「なぜ地球だけに陸と海があるのか」
(ISBN978-4-00-029591-8 C0344)
を読んだ。
巽氏の書く本は面白い。
一線級の研究者が
最新情報だから面白いのか。
それとも巽氏の書く文章が読ませるのか。
多分両方なのだろう。
分量の少ない本なので一気に読んだ。
やはり新しい知見、大胆な知見があった。

2012年5月7日月曜日

28(845)添乗員奮戦記: 2012.05.07

岡崎大五著「添乗員奮戦記」
(ISBN4-04-365402-2 C0195)
を読んだ。
海外旅行の添乗員の体験談である。
パック旅行でも色々な事件があるようだ。
travelはフランス語のtravailを語源とする。
travailは、「仕事」や「骨折り」という意味で
旅をするということは、
大変なことを意味するのだ。
そんな事件がいろいろ紹介されている。
こんな本を読むと、
旅に出たくなる。

2012年5月5日土曜日

27(844)遠い「山びこ」: 2012.05.05

佐野眞一著「遠い「山びこ」」
(ISBN4-10-131637-6 C0195)
を読んだ。
無着成恭の「山びこ学級」の40年後を
詳しルポルタージュしたものである。
「山びこ学級」は、昭和23年に赴任した無着が
山村の中学校で行った教育実践を
まとめたものである。
戦後の民主主義や民主主義教育が
戸惑っている時、その本は出版された。
民主主義教育の典型的実践として、
メディアにもてはやされた。
それは、無着と生徒に大きな影響を与えた。
その後の子供たちや無着の消息を調べ
取材をして、本書は書かれた。
素晴らしい取材、そしてルポである。
佐野氏の徹底した取材の能力には
いつも驚かされる。
そんな取材から、別の何かが見えていくる。
今回のルポからも、
戦後の教育と農業の衰退が、
行政側と現場の葛藤を含めて見えてきた。