2002年4月15日月曜日

23 弁証法における「否定の否定の法則」について:2002.04.15

井尻正二著「弁証法における「否定の否定の法則」について」(ISBNなし、地団研プックレットシリーズ10)を読んだ。
小冊子であるが、久しぶりに本を読んだ。井尻正二を読んでいる。この書は、O先生から頂いたものである。地質学と哲学を橋渡すようなものを考えたとき、日本では、井尻正二を忘れていけない。かれは、ヘーゲル、エンゲルスなどの研究を
地質学者とおこなってきたのである。学生時代、井尻氏の書いた「科学論」を読んで感動したことがある。そのあたりを、再度読み直そうと考えている。これが手始めである。
この書は、ヘーゲルの弁証法の根本原理である「否定の否定の法則」を批判したものである。弁証法の勉強の入門としていいかもしれない。
弁証法とは、「世界を生成消滅の自己運動としてとらえる」考え方である。弁証法とは、三分法の思考形式を持つ。定立(あるいは正)と呼ばれる最初の説があると、それに対立、矛盾する反定立(あるいは反)が生まれる。それをさらに否定(あるいは止揚(アウフヘーベン:aufheben)とよばれる)され、次なる正(あるいは(総)合)になるという思考形式である。ヘーゲルの観念的弁証法からはじまり、マルクス、エンゲルスの唯物弁証法になったものである。
その正に至る過程が、「否定の否定の法則」で、弁証法の根幹となる部分である。それを批判した書である。面白かった。