2002年10月10日木曜日

51 絵で分かる進化論: 2002.10.10

徳永幸彦著「絵で分かる進化論」
(ISBN4-06-153429-7 C3045)
を読んだ。
面白かった。
でも、市民はつらいかもしれない。
なぜなら、集団遺伝学や 遺伝的アルゴニズムの核心部が、
数式で展開されているからである。
でも、非常に分かりやすく最近の進化の一分野が理解できた。

R.C. Lewontinのいう進化の起こる条件
「Variation in heritable fitiness(VHF)」
「適応度に変異があり、かつその適応度が遺伝するとき」

「「進化」とは、「VHF」が満たされて集団にたいして
「選択」が起こる様子であると表現されます」

「「適応度」とは、「次の世代に、
どれだけ自分のコピーを残すことができるか」
を表す尺度のことです」

「遺伝する」とは、「生物のもつさまざまな性質(形質と呼びます)が、
世代を超えて伝わっていくことです」 

ダーウィンの進化のプロセスは、
「「分岐」と「絶滅」 、これが基本メカニズムです」

ダーウィンは、斉一説が生物の進化にも働いていると考えた。
「このような見方を漸進進化説(gradualism)と呼びます」

ダーウィンは「人為選択(artificial selection)」のアナロジーとして
「絶滅を起こさせる力を「自然選択(natural selection)」として
提案したのです」

自然選択は、「適者生存(suvival of the fittest)」と表現されるが、
これはトートロジー(同義反復、tautology)である。

適者生存の命題の擁護
・R.N. Brandonのテンプレート説は、
「それが正しいかどうか吟味できる代物ではない」
・「この問題は、「自己参照(self-reference)」の問題で、
今日、生物だけでなく 、数理、物理、化学を含めて
科学全体を貫く中心課題」

ネオダーウィニズムは、
「遺伝機構としてメンデル遺伝を採用し、
そして変異の源としては、
無方向性の突然変異を採用したものです」 

「進化は弁証法である」
その二つの理由
・「分類は、本来は相反する「分ける」という操作と
「まとめる」という操作を統合する作業です。
この「分ける」ことと「まとめる」ことの
つじつまを合わせる論法として、進化論がある」
・「メンデル遺伝学とダーウィン流の進化論の間の確執を
解消するすべだった」
「メンデル遺伝学は、基本的に不連続な形質の遺伝様式
を記述する営み」
「当時のダーウィン流の進化論者たちは、 
ライエルの斉一説に準拠しながら、
進化は連続な変化であるという立場をとっていたました」