2003年2月9日日曜日

10(88) 天才は冬に生まれる: 2003.02.09

中田力著「天才は冬に生まれる」
(ISBN4-334-03171-4 C0240)
を読んだ。

細切れを集めたような本だ。
著者としては、日本語の本がこれで3冊目だが、
だんだん質が低下している。
残念なことだ。
中田氏は一線級の研究者なのだから、多作する必要はない。
いいものをじっくりと書いてほしい。

コペルニクスは、・・・それまで
「世の常識に反することは正しくない」とされたいたことが、
「常識に外れても正しいことは正しい」
という概念を生み出したのである。

哲学とは「哲学すること」、つまりは、
正確な論理過程を持った思考を意味し、
科学とはその論理過程の普遍化を求めて行われる
「現象の数学化」である。
ともに、「過程」の正確さを求めたものであり、
結果は必然的に生まれる。
論理の過程が正しければ、
与えられた条件に従った「正解」が出る。

科学的真実が世の常識として認められるまでには、
心有る科学者の絶え間ない努力と、
地道な教育とが不可欠なのである。

科学的記載が総て真実であるとは限らず、
飽くまでもその時点で真実と思われるものの記載であることも、
忘れてはならない。

アイシンシュタインが人類に残してくれた最大の業績は、
「時」が個々のものであり、
決して総ての実存に共有されたものでないことを、
教えてくれたことである。

「数学が単純なものであることを信じないとすれば、
それは、人生がいかに複雑なものであるかに
気づいてないからに違いない」
ノイマンの残した言葉である。
"If people do not belive that mathematics is simple,
it is ony because they do not realize
how complicated life is."

人の心を打つ芸術家は、その分野の人であれ、
皆、優しい心を持った哲学者である。