2001年2月23日金曜日

16 ●ひとはなぜエセ科学に騙されるのか

カール・セーガン「ひとはなぜエセ科学に騙されるのか」(上巻ISBN4-10-229403-1、下巻ISBN4-10-229404-X)
カール・セーガンが、エセ科学といわれるUFO、宇宙人誘拐、交霊、超能力、ミステリーサークルなどを細かく調べ、論破していく。しかし、セーガンは、科学では割り切れない人間の心の中にある問題にたどり着き、それは、それで、充分考えていく必要があることを述べている。セーガンの絶筆になるのだろうか、迫力を感じる。そして、科学に背を向けている一般大衆に向かって、科学の重要性をわかりやすく、でも、真摯に説いている。そして、もちろん科学の弱点もしっかりと説いていす。素晴らしい本である。久しぶりに感動した。永久保存版である。
エセ科学には、「トンデモ話し検出キット」を使えといってる。それは、今まで長年科学が行ってきた方法である。その例として、裏づけを取れ、議論のまな板にのせろ、権威主義に陥るな、仮説を複数立てろ、身びいきするな、定量化しろ、弱点を叩きだせ、オッカムのかみそり、反証可能性などである。
「科学は、両刃の剣なのだ。その恐るべき力を手にするからには、政治家をはじめ、誰もが新たな責任を負わなければならない。もちろん、科学者の責任はことに重大だ」
「おそらに科学と似非科学のいちばんはっきりしたちがいは、科学のほうが似非科学よりも、人間の不完全さや誤りやすさをずっとよっく認識している点であろう。」
「「権威者の言うことは信用するな」というのは、科学の偉大な戒律の一つである。(もちろん、科学者も霊長類なので集団内の順位には弱く、いつもこの戒律が守れ得るとは限らないのだが。)」